うがいは水うがいで十分

ちょっと緩めというか,穏やかな立冬です。

しかし真冬よりもむしろこの時期のほうが風邪が増えます。日中に活動すれば汗をかくこともあるほどですが,夕方には冷えます。夏モードの自律神経のままでは体調の維持がたいへんです。

風邪といえば,うがいと手洗いが基本対策として謳われますが,実はうがいには注意が必要です。

京都大学健康管理部門・健康科学センターが2002年度の冬季に行った調査があります。北海道から九州に住む387人のボランティアに「うがいをしない」「ヨード液うがいをする」「水うがいをする」の3群に割り当てて,それぞれ2ヶ月間その行動を行ってもらいました。

すると,うがいをしない人たちは100人あたり26.4人が風邪をひきました。ヨード液でうがいをした人は23.6人,水うがいの人は17.0人でした。

統計処理を行ってみると,水うがいはうがいをしない場合に比べて40%風邪を減らしましたが。一方ヨード液うがいでは12%の低下にとどまりって予防効果はないと判断されました。

同研究所は,水によって埃の中にあってウイルスにかかりやすくするプロテアーゼという物質が洗い流されること、水道水の塩素の効果ではなかろうかと考えているようです。またヨード液で効果が出なかったことについては、ヨード液はのどの細菌を根こそぎ殺菌してしまうので,それが善玉菌まで死滅させて防御力を妨げたり,またヨード液自体が粘膜を傷害することでウイルスに感染しやすくなるのではと考えているようです。

この研究が報告されてからヨードうがい液の売上は激減し,殺菌力がマイルドで粘膜障害性の低い青いうがい薬が一般的になりました。

いまだにヨードうがい液が処方されている例はよく見ますし,それを希望される患者さんも少なからずいますが,その都度説明しています。要は水うがいで十分だということです。(写真は青々と葉を伸ばす拙宅の大根)