あけましておめでとうございます

遅れましたが,あけましておめでとうございます。
 
どこにも行かない正月でした。年末年始に限らず,年をとるほどに活動範囲が狭まっていくというのは多くの同年代の人達が感じるところだと思います。今や若い頃なら耐えられなかった半軟禁生活にも苦痛がなく,今後診療報酬不正収受で投獄されるようなことがあっても案外刑務所で快適に過ごせてしまうんじゃないかなと思えるほど。
 
若い人の目には外出もせずに家にいる中高齢者の姿はどのように映っているでしょう。孤独に耐える悲惨な姿でしょうか。自分が年をとったらそうはなりたくない,若い頃と同じように活発にあちこちに行きたい,少なくとも私はそう思っていました。
 
しかしその想像に反して大過なく齢を重ねることができた高齢者の多くは案外楽しく生きている。余生に不安のない人などいない,それでもなお不安を受容し人生の記憶の酸いも甘いも良きものとして反芻(はんすう)して,積極的に蟄居(ちっきょ)して生きる。積極的である以上悲惨であることはない。
 
一緒に住もうというと言ってくれる娘も,一緒に旅行に行こうという息子もこの上なく有り難いだろう。しかし今までの人生で積み上げた自分が支配できる小さな世界の快適さを失いたくはない。高齢者が求めるのは家族や他人との接触を維持した世界の中での積極的孤独だ。異論はあると思うがこれがその世界に足を突っ込みつつある今の私の思うところである。
 
加齢はさまざまな困難を生むが,年々老いの現実を感じる自分の感想として,若い頃に予想していたよりもずっと素晴らしい。
 
本年もどうかよろしくお願いします。(写真は本日,有浦歩道橋から)