熱に強い体は汗をかくことから

近年無節操に熱中症が増えています。

昭和の時代は扇風機しかなくても熱中症になる人は殆どいませんでした。ところが今は真夏日を告げるニュースと熱中症のニュースはセットメニューになっているという有様です。

原因は単純です。汗をかく機会が減ったからです。住環境が整備されて,発汗能力が低下して,突然の高温に対して体温を下げることができなくなっているのです。また同時に発汗したあとどのようにしたら良いかという知恵まで滅してしまったのです。

熱中症への対策は,クーラーや水分摂取どといった姑息的なものだけが叫ばれています。しかしもっと根本部分に目を向ける必要があります。つまりいかに発汗能力を鍛えるかということです。姑息的な対策で逃れていると,災害や停電時に命を落とす危険が高まります。

対策のひとつとして入浴に注目しても良いのではないでしょうか。入浴は,毎日,簡便に,誰もができる発汗訓練です。

家庭入浴は,近年リラクセーション教の下僕と成り下がっています。血圧が上がるとか,心臓に負担がかかるなどと脅されれば,従順に従わざるを得ません。しかしその生ぬるい入浴法が熱中症増加の片棒を担いでいた一面は否定できないように思います。さらに体臭を忌避したり人前での発汗を忌避する近年の日本人的な慣習も関係しているでしょう。

子供の頃,もう熱いからと湯船から出ようとすると,肩までつかって100数える!!という父の号令が飛び,いやいや数え始めるのですが,早く上がろうと省略形でカウントすると「きちんと数えろ!」ダメ出し。顔を赤くしながら湯船から出たことを思い出します。そのようなことがどの程度子供の耐熱力アップに繋がったのかは不明ですが,少なくともかつての日本の家庭入浴は,日本人の耐熱機能に幾分なりとも寄与していたのは確かだと思います。

汗を掻くこと厭わないようにと言われてもそう簡単には意識は変わらないでしょう。せめて,ちょっとのぼせる程度に風呂に入るというのを試してはどうでしょう。ごく個人的な意見ですが。(写真は拙宅前に開花するヘラオオバコ,花粉症植物です。)