日本は感染症後進国・感染症に対する意識と行政

 

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2009.7.01

7〜8月は耳鼻科疾患の谷間で,めぼしい情報に乏しい時期でもあります。

現時点で最大の耳目を集めているのはやはり新型インフルエンザでしょう。多くの情報が錯綜していて,どの情報を信用して良いやら分からない,そんな人も多いと思います。

最大の原因は,インフルエンザのみならず感染症全般について国の優柔不断さです。実は一般的な予防接種1つ取ってみても日本は世界標準に達していません。人間用の狂犬病ワクチンもなく,日本は感染症については先進国どころか後進国なのです。

それを皆さん知るべきです。

感染者に対する意識も1000年昔と同じだと言わざるをえません。感染者を忌避しスティグマ(ギリシャ語で、奴隷や犯罪者の身体に刻印された徴(しるし)の意)として扱う,そのような傾向が現在の日本でも間違いなく根を残している,新型インフルエンザの患者に対する反応を見るとそう感じざるを得ません。

事実日本は歴史的に感染症に対して多くの汚点を残している国です。古くはハンセン病に対する医学的根拠のない隔離政策,最近では麻疹(はしか)を海外にばらまいて有名になりました。麻疹が流行するような国を世界では先進国とはいいません。

このように日本は感染症に対する意識,行政,全ての面で後進国であることを認め,意識の方向転換を図るべきだと思います。しかし,多くの内科医や小児科医が国に対して長年要求を続けているのにこの有様です。なんとかしてほしいです。

さらに今回,日本政府は水際対策と称して検疫を行いました。旅行者達が隔離されたのです。医者達は『またやってくれたな,金をかけた有害なパフォーマンスだな』という冷ややかな目で見ていました。

この検疫という行為,インフルエンザに対しては全く意味がないことはすでに医学の常識です。厚生労働省はそれを無視して国民向けのパフォーマンスを行い,多くの人たちの人権を侵害し挙げ句の果てにWHOから勧告された始末です。

この国のいい加減な舵取りに対して現場の医療者達は静かな抵抗をしています。それはインフルエンザ簡易検査を必要最小限にしか行わないという抵抗です。新型インフルエンザが確認された際に国の指示に従った対応をすると医療が機能しなくなる,それを現場の人たちは知っています。そして今回の新型インフルエンザは季節性のインフルエンザとなんら変わりがないことも知っています。

情報の中から正しい情報を読み解く,それをメディアリテラシーといいます。この文章ご覧になった方にはすでにそれが備わっていることと思います。

 

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●耳鼻咽喉科

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