<花粉症と鼻すすり音>


東北北部がついに花粉の靄(もや)に包まれつつあります。

朝の新聞を開いた瞬間に反応する目のかゆみで花粉の量が分かります。今朝は大したことはありませんでしたが今日は5月の気温になるということで日中はかなり危険な状態になりそうです。

きれいな話ではありませんが,というか医学の話にまずキレイな話というのはないのですが,花粉のシーズンに入ると外来患者さんの鼻をすする音が変わります。

鼻をかんだりすすったりするときの音は鼻汁の性質と大きな関係があって鼻の状態がだいたい想像ができます。

まず,カゼの初期や花粉症の初期には「スッスッ」「シュッシュッ」というような高周波成分を主体とした鼻すすり音です。鼻汁の粘り気が弱く,鼻をすすり上げるために鼻腔を通過する空気のスピードが要求されるので,鼻腔を狭めて速い流速を生じさせる必要があるためです。高周波の摩擦音はそのためです。感動巨編上映中の映画館での涙すすり音と同じです。

一方カゼの中期以降や副鼻腔炎では鼻汁の粘り気が強く,すすり上げる空気のスピード以上に絶対的な流量が必要になるため摩擦音も低周波側に偏ります。いわゆる「ズビズビ」状態です。これは映画館では聞かれません,やられては涙の感動巨編が抱腹絶倒のコメディーになってしまいます。

「スッスッ」「シュッシュッ」と外来に響く鼻すすり音が,いよいよ本格的な飛散が始まったことを告げてくれます。本格飛散の開始から約1ヶ月間は花粉の多い時期が続きます。(写真は先日,都内の某大学の学位記授与式から)