●鼓膜穿孔閉鎖術(欠畑式)

鼓膜の穴(穿孔)を閉鎖する手術です。

かつては慢性中耳炎の跡として残ったものが大半でしたが,昨今では鼓膜にチューブを留置した症例に残った穿孔が増えています。

小児の鼓膜穿孔は長い経過によって自然閉鎖することが多く,原則的に保存的に治療しています。小学生時代に鼓膜穿孔を持った子供でも中学生になってしまうと自然閉鎖する例が多いようです。早い時期の閉鎖を希望される方には閉鎖術も考慮しますが,非常にデリケートな操作を要するので,診察椅子の上でじっとしていることができる年齢になるまで待つようアドバイスします。

当院で鼓膜チューブを留置した患者さんに生じた鼓膜穿孔は私が責任を持って治療します。近年では山形大学教授の欠畑誠治先生が開発された自己血清点耳による鼓膜穿孔閉鎖術を当院でも行っており成果を上げています。それによっても閉鎖が困難な場合は耳介軟骨膜を鼓膜に移植して鼓膜を再生させています。

成人例では鼓膜チューブ跡の穿孔を閉鎖してしまうと再び滲出性中耳炎の状態になって再度チューブを留置するという堂々巡りになってしまう例が少なからず認められます。このような症例では穿孔が小さければむしろ放置した方が賢明です。